マイナーダイアトニックとマイナー旋律

マイナーダイアトニックとマイナー旋律

 理論は、簡単に言うと枠組みです。
この理論でつくれば曲調がそれらしくなる、とも言えます。

 夢の途中 – 来生 たかお
 Heavenly Blue – 高野蘭 [来生 たかお]

 シングル・アゲイン – 竹内まりや
 駅 – 竹内まりや

 初恋 – 村下孝蔵

などを聴いていただければ解ると思いますが、
マイナーキー(短調) を駆使すると、哀愁を帯びた曲になります。

新しめの曲であれば、

 Rain – FreeTEMPO
 Zoetrope – やなぎなぎ (イントロ部分)

などです。

 Rainのコード解析をすると、

Key=6
    | Am7    G7    | FM7    Em7   | Dm7   CM7#5 oct:-1 | E7    Am7
    | Im7    VII7  | VIM7   Vm7   | IVm7  bIIIM7#5     | V7    Im7

となっており、移調さえすれば、メロも伴奏もほとんど白鍵だけで
弾けてしまう比較的シンプルな曲です。
でも単純な構造であるが故、ピアノによる泣きのマイナー旋律がより
鮮明になり、とても訴える力が強くなってます。

コードの流れは、マイナーダイアトニックを順次、下降し続けるのみに近いのですが
特長として、モーダルインターチェンジ( Modal Interchange: スケール交換)を
ふたつ、使っている点です。

ひとつは定番の Vm7 -> V7 の変更、
もうひとつは bIIIM7 -> bIIIM7#5 [‘ceg#b’]に変更している点です。

bIIIM7#5 で気付くかもしれませんが、
この部分だけ旋律にハーモニックマイナー[g#] を使用しており、
f”acf | e”g#c”br ここでくっ、と心をつかまれる感じを受けます。

実はナチュラルマイナー[g] だけでは、
メジャー音列と変わらないため、マイナー感が薄いんですね、
どこかでモーダルインターチェンジをつかい、ハーモニックマイナーを
差し込むことが必要になるのではと思います。

//  a b  c d e  f g         //ナチュラル Key:A
//  a b  c d e  f g#        //ハーモニック


	-- ナチュラルマイナーコード表   Key:A

//  | 'a`c`e' '"bdf'   | 'ceg'   'dfa'  | 'egb'   'fa`c' | 'gb`d'
//  | Am(7)    Bm(7)b5 |  CM(7)   Dm(7) |  Em(7)   FM(7) |  G(7)
//    Tm       SDm        Tm      SDm      Dm      SDm      SDm


	-- ハーモニックマイナー   // Bm7b5, Dm7, FM7 ナチュラル共通

//  | 'a`c`e(g#)'      | 'ceg#'         | 'eg#b'         | 'g#b`d'
//  | Am(M7)   Bm(7)b5 | CM(7)#5  Dm(7) |  E(7)    FM(7) |  G#dim
//    Tm       SDm       Tm       SDm      D       SDm      D

 Zoetrope も解析してみると、
イントロはマイナーダイアトニックのみでつくられているのですが、

Key=6
    | c^^cc^ c^	| c^"br"a^"g#^     |"a^^"e^r"e^|^^^^ ^^[r]
    | Am7       | Bm7b5	   Dm7     | Am7
      Tm          Sdm      Sdm       Tm

Dm7 で旋律に g# が出てくるんですね。
ポップスの通例として伴奏やメロをつくるときは、
白鍵だけで弾けるようにするはずなのに、なぜ黒鍵が ?
と思ったのですが、これがかの有名なハーモニックマイナーの罠だったのでした。

 ハーモニックマイナーをたった 1箇所のみ、織り込むことにより
これはマイナーの曲だ、となんとなく聞き手はみな陥れられる形になるのだと思います。

 - 注 : あくまで独自解析の結果なので全てあっているとは限りません、、-